『産地は団地』!神戸の団地で高級魚を陸上養殖する実験が始まりました。
神戸市垂水区にあるUR都市機構の「新多聞団地」。91棟が立ち並ぶ大規模な団地です。そこで今年11月から行われているのが『魚やエビの養殖』です。以前は診療所などが入っていたという建物で行われています。
水槽の中にいるのは高級魚ヒラメに、肝が絶品のカワハギ、そしてバナメイエビです。しかし、なぜ団地で養殖を始めたのでしょうか。
(UR都市機構・ストック事業推進部 長野光朗さん)
「団地の中には空いているところもあるんですけれども、そういう空間を有効に活用して陸上養殖することで、団地の活性化につなげていければなと」
増える空きスペースを有効活用するためにとURと陸上養殖を手がける滋賀県の企業「ウイルステージ」などが共同で始めた養殖実験。『完全閉鎖循環方式』という手法で、水槽の水は浄化装置を通して循環されていて、大量の水の追加や排水の必要はありません。
(陸上養殖を担当するウイルステージ 大谷洋士社長)
「水を出さないでいいということは、部屋の中どこでもできるわけで、場所を選ばないで魚を飼育することができる」
さらに“団地だからこそ”のメリットもあるといいます。
(陸上養殖を担当するウイルステージ 大谷洋士社長)
「(団地は)建物自体やはり断熱性が優れていますので、天候に左右されやすい場所でやるよりはものすごく環境が安定しているので、魚も喜んで、成長が早い。(魚にとって)ある意味、贅沢すぎる環境じゃないかなと思います」
今育てている稚魚は合計約1200匹。ヒラメとカワハギは1年、バナメイエビは半年ほどで稚魚から出荷できるサイズになります。餌やりや水温調整などは自動化されていますが、URは巡回業務などを団地の住民に委託することも検討しています。
(UR都市機構・ストック事業推進部 長野光朗さん)
「職・住・近接で暮らせるというところはURにとってもメリットがあるところかなと思っていますので。最後のちょっとした手間のところを団地や地域の居住者さんに手伝っていただくということを考えていきたいと思っています」
団地の住民にも話を聞きました。
(団地の住民)
「人が少なくなってきたり高齢化してきたりしているから、そうやって使ってくれるのはすごく嬉しいかなと思います」
「えー素敵。エビ好き。食べられる?エビチリとかエビマヨ、エビフライ…孫はエビフライが好きです」
URは“今後採算性などを見極めて販売の可能性を探っていきたい”としていますが、将来的にはブランド化にも期待を寄せます。『産地が団地』という魚に舌鼓を打つ日は近いのかもしれません。
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