健康な女性が「将来への備え」として卵子凍結を選択したのが、都内だけで1135件あったことが、日本受精着床学会の調査で分かりました。同学会の医師によると卵子凍結には3つの課題がありますが、その1つの経済的負担については支援する動きもあります。
■健康な女性の「卵子凍結」…背景は?
有働由美子キャスター
「キャリアと出産のタイミングに悩まれている方も多いと思います。健康な女性で将来、妊娠出産するために卵子を保存する『卵子の凍結』を選択した人が去年1年間で、都内で把握できているだけでも1135件(11施設)あったことが初めて明らかになりました」
「がん患者が、治療の影響を避けるために行った136件(13施設)と比べ、8倍以上いました。健康な女性でもこれだけ卵子凍結をしていたのですね」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「多いですよね。この調査を行った日本受精着床学会の堤治医師(産婦人科)も『予想を超える実施数で正直驚いた』と話しています。働いている女性や、子どもは欲しいけれど今は結婚相手がいないなどの女性が、将来への備えで選択している背景があるといいます」
■産婦人科医師が語る「3つの課題」
有働キャスター
「リスクもありますよね」
小栗委員
「そうですね。堤医師は主に3つの課題を挙げています。まず女性の体への負担です。卵子を取るために、健康な体に針を刺すという行為をしなくてはいけません。これはやはり、推奨されることではなく、やむを得ない選択であるといいます」
「経済的な負担もあります。卵子凍結には保険が適用されません。一般的には20~40万円かかると言われていて、全額自己負担となると、かなりハードルが高いのが現実です」
「また女性の年齢が上がるにつれて妊娠率が下がるので、卵子凍結にもタイムリミットがあるということです。『卵子は老化するなど、生殖の知識を学ぶことも重要』と堤医師は話しています」
■企業の費用補助も…都は支援を検討
有働キャスター
「どれも大変ですが、経済的負担は何とかならないのかなと思います」
小栗委員
「東京都の小池知事は7日、支援を検討する方針を明らかにしています。またジャパネットグループやサイバーエージェントなど、日本の企業のなかにも卵子凍結の費用として最大40万円を補助するところもあります」
有働キャスター
「この悩み、アスリートの皆さんのなかにもあると思います」
廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「女子アスリートも、出産と選手生命をどうするのか悩みます。日本において女性の社会進出にまだまだ課題があるなかで、適齢期に妊娠することを戸惑う女性のために、選択肢が増えるのはとても良いなと思います」
有働キャスター
「私自身も卵子凍結に挑戦したことがあるので、1つの選択肢として増えるのはいいなと思います」
「一番大事なのは、キャリアを積みながら安心して産みたいときに産める社会にしていくことです。これは男女関係なく、自分のパートナーや家族の自分ごととして、社会全体で考えていかなければと思います」
(2022年12月8日放送「news zero」より)
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