【転職】「人類みんなちょっと不安と思えばそんなにつらくない」“不確実な世界”で変わる働き方 成田悠輔×小川彩佳|TBS NEWS DIG

【転職】「人類みんなちょっと不安と思えばそんなにつらくない」“不確実な世界”で変わる働き方 成田悠輔×小川彩佳|TBS NEWS DIG

勤労感謝の日、イェール大学助教授・経済学者の成田悠輔さんがスタジオ生出演。成田さんは「そもそも働きたくない」そうですが、働き方が多様になっていく時代。若者、中高年、それぞれ不安を抱えています。成田さんは「不確実な世界に変わっちゃった」「自分だけが辛いわけではなく、日本人みんなちょっと不安、人類みんなちょっと不安というくらいに思っておけばいいのでは」と語りました。

■“5社掛け持ち”の“在宅ワーク”で“子育て”も“サーフィン”も両立

日本でも有数のサーフスポット、神奈川県・湘南。サーフィンを終えた男性がやってきました。内海京寛さん(30)。趣味のサーフィンを毎日楽しんでいるといいます。というのも…

内海さん
「“フリーランス”やりながら、自分自身のやりたいことをやっている」

会社に縛られない働き方“フリーランス”。内海さんは現在、5社の仕事を掛け持ちしていて、ほとんどが自宅でのリモートワークです。毎日、保育園への子どもの送り迎えも行いながら、合間でサーフィンも楽しむなど自由な働き方をしています。

内海さん
「今の働き方は純粋に気に入っています。家庭と育児と自分の仕事とサーフィンが全部折り合いつく形でできているので」

新卒で大企業に入社後、転職を経て、4年後にフリーランスに転向した内海さん。私生活の充実だけでなく、仕事面でも、会社員時代より成果が上がっているといいます。

内海さん
「働く時間が短くなって、いわゆる収益は数倍になっているので、そういった意味ではかなり生産性は上がっていると思います」

■若い世代の間で高まる転職への意欲

ひとつの会社の中での「異動」や「昇進」などでキャリアを築く人が多かった日本社会。ただ、最近では企業や組織に依存せず、自らの強みを生かしてキャリアを築いていく人たちも増えています。

岸田総理も今年9月、こう強調しています。

「まずは労働市場の改革。“ジョブ型”の“職務給”中心の日本に合ったシステムに見直す」

働き手の意識も変化しています。

入社直後、転職サイトに登録する新社会人の数は、約10年で28倍に。終身雇用を前提としない価値観は、若い世代ほど強くなっています。

Q:終身雇用か転職か?

20代女性
「やっぱり転職をする方かなと思います。転職しない限り昇給とかあまり変動しなくて、高い給与をいただきたいということであれば、選択肢として転職になっちゃうのかなとは思います」

27歳男性
「いろいろな会社に行ったほうが、いろいろな知識とか技術とか得られるのかなというのはあります。転職して給料面が上がった人をみると『いいなあ』と思ったりはします」

本人に代わって会社の退職手続きを行う「退職代行」サービスを手がける新野俊幸さんも、10年前とは働き方の価値観が変わったと感じています。

退職代行「EXIT」新野俊幸社長
「2012年とかは、石の上にも3年というか“3年働くのが当たり前”って価値観はあったんですよね。キャリアに傷がつくっていう。今はそんなことなくて、極端な話1か月で辞めても、その人次第で転職でどこにでも行けるんですよ」

■「あなたにどんな能力がありますか?」転職が突きつける厳しい現実

こうした働き方の変化に、中高年は…

60代男性
「他のことに挑戦する、冒険するだけの自信もエネルギー・パッションもないので、どっちがいい悪いってことはないと思いますけど」

60代男性
「やっぱり、どこかに長く勤めたほうが楽だよね。転職するとゆっくりできないでしょ。いつもせわしい感じになる」

フリーランスで働く内海さんは、自由な働き方には厳しさが伴うと話します。

フリーランス内海京寛さん(30)
「やっぱり誰にでもできるわけじゃないなっていうのはすごく思っていて、自由を勝ち取れるために『あなたのスキル・パフォーマンス能力は何がありますか?』っていう風になる。そのリスクをあらかじめ分かったうえで、フリーランス・副業をやろうとしているかというところは認識しておかないと、思ったより大変だったってみんな言うと思います。僕も、もしかしたら仕事がなくなるかもしれないし」

■“10年以内に転職” 変わる若い世代の働く意識

小川彩佳キャスター:
まずは若い世代の意識についてのデータを見ていきます。

「2022年新入社員 今の会社であと何年くらい働く?」(マイナビ転職 調べ)
・3年以内:28.3%
・4~5年くらい:13.8%
・6~10年くらい:8.9%
・10年以上:8.0%
・定年まで:18.5%

国山ハセンキャスター:
10年で区切ると、10年以内の退職予定が51%、つまり半分以上が転職を考えているということになります。私も転職を公表してるんですけれども、ちょうど10年目なのでそこで決断したという形で…

イェール大学助教授・経済学者 成田悠輔氏:
何か不満が?

国山キャスター:
そんなことはないです…

小川キャスター:
終身雇用が当たり前だった時代と比べると、ずいぶん意識は変わったという感覚はありますよね。

成田氏:
ここ10年ぐらいで一気に変わりましたよね。僕は大学を卒業したのが2009年ですが、その頃はまだギリギリ終身雇用の古い日本社会の残滓というか遺産が残っていた時期だったと思うんですよね。2010年代になってから一気に日本社会・日本経済は変わったなっていう印象がありますね。

国山キャスター:
1つの会社でずっと働くとは思わない理由にこういった答えがあります。

「ずっと働くとは思わない理由は?(複数回答)」(マイナビ転職 調べ)
・ライフステージに合わせて働き方を変えたいから:30.7%
・給料がいまいちだから:27.5%
・いろいろな会社で経験を積んでいきたいから:26.8%
・転職でキャリアアップしていきたいから:26.8%
・仕事がハード/厳しそうだから:19.9%

■いまの会社、30年後にありますか?年功序列に期待できない若い世代

国山キャスター:
日本は転職によって給料がアップする環境が整っているんでしょうか?

成田氏:
どちらかというと1つの企業にずっと勤め上げても報われなくなってるという側面の方が大きいんじゃないかと思うんですよね。昔は同じ会社にずっといれば、その会社の中の事情が段々と良くわかっていって、ほぼ間違いなく段々と役職も給料も上がっていくという感じで、何が起きるかわかりやすかったと思うんですよね。

今の社会だと1つの企業にずっと勤め続けていると、むしろその企業の業績が悪くなったらどうなるのか、他の会社に行ったら通用しなくなるんじゃないかという心配の方が大きい。だから転職するのが自然な流れとして、転職を考えざるを得なくなってるという感じが強い。

国山キャスター:
社会構造で見ても、上の世代の方が数は多い。1つの大きな企業で見ても、上の人の数が多いので、上司の数が多いから、なかなか自分は出世できないんじゃないか、若い人が活躍できないんじゃないか、という声もあると思う。

成田氏:
今の中高年の人たちは、まだ年功序列で賃金も上がっていく、というスタイルで働いていて、正社員の方が多い。そうすると、その人たちの給料はすごく高いということになるので、若い世代は相対的に不利なポジションに置かれがち、というのはあると思うんですよ。

昔だったら、若いうちは不利なポジションに甘んじていても、30年たったら報われると期待できたと思うんですよね。だけど今だと30年経つと、その会社があるのかどうかもわからない。

国山キャスター:
アメリカの場合はどうなんですか?

成田氏:
そもそもアメリカの場合は日本みたいな「しっかり保護された正社員」という仕組みはない。今話題のTwitter社や、他のIT企業みたいに、業績が悪くなるとクビになるのも仕方ないという仕組み。そうするとみんなが転職するということを常に念頭に置きながら仕事をする。もし他の会社で、今よりも給料が高かったり、より働きやすい環境があったりしたら、転職したり、あるいはそれを材料にして今の会社と交渉したりするのが普通。大学の先生でさえ、それが普通なんです。他の大学から引き抜きの誘いがあると、それを使ってガンガン給料交渉して。人によって給料やタイプが違う。

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