中国当局にスパイ罪で拘束され、その後、6年の実刑判決を受けた男性が取材に応じ、拘束の実態について明らかにしました。7か月続いた監視生活の中で太陽を見られたのは“たった15分”と、過酷な実態が浮かび上がってきました。
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鈴木英司さんは日本と中国の青年交流を支援する団体の代表で、200回以上、訪中していました。6年前の2016年7月、仕事を終えて帰国しようと、ホテルから北京の空港に向かっていましたが…空港の外国人観光客が多く利用するターミナルで、鈴木さんは白昼堂々、襲われました。
中国で“拘束”された鈴木英司さん(65)
「6人か。ちょっと柄の悪い人たちが立ってたんですね。(6人組の男が)ちょっと歩いたところで『鈴木か?』って言うんですよ。(『鈴木だ』と)答えるか、向こうが早いかというような感じでね、ぐーっと押されましてね」
車に押し込まれた鈴木さん。男たちは中国語で「北京市公安局」を名乗り、鈴木さんを「スパイ罪で拘束する」と告げました。連れ去られた先は“古びたホテルの部屋”だったといいます。
鈴木英司さん
「(目隠しを)後ろから外して、こう見たら、ホテルの部屋なんですよ。古びたホテルの部屋」
鈴木さんによると、そこはベッドと応接セットだけの簡素な部屋で、窓は黒いカーテンで遮られ、外の様子は全く見えませんでした。2人の監視員が交代制で24時間、トイレやシャワーの際まで見張っていたということです。
取り調べが行われたのは廊下の斜め向かいにあった「504号室」で、中では3人の男が座っていました。真ん中の、Tシャツにジーンズというラフな格好をした40代の男性は自身について「『先生』と呼べ」と話し、この「先生」が質問役でした。
鈴木英司さん
「『まずは、おまえの友達を全員、言え』と。『中国の友達は誰だ。紙に書け』『日本の友達は誰だ。紙に書け』 という話だった」
何が違法行為なのか、鈴木さんに明かされることのないまま、遅いときは夜11時頃までの取り調べが毎日、続きました。
ある時、鈴木さんの「太陽を浴びたい」との要望に対し、当局が用意したのは窓際に置かれた“1脚の椅子”でした。
鈴木英司さん(65)
「(窓から)1メートルのところから、あーって…15分。気持ちよかったです」
監視生活は7か月、続きましたが、その中で太陽を見られたのは、この15分だけでした。
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その後、逮捕・起訴されると、なぜ拘束されたのか、ようやく明らかになりました。
2013年12月、北朝鮮の金正恩総書記のおじで、有力者だった張成沢氏が失脚したと報じられました。(後に北朝鮮は張氏の処刑を発表)。鈴木さんは当時、中国外務省関係者との食事の席で、何気なくこの話を出しましたが、相手は「わからない」と答えたといいます。
このやりとりだけで「スパイ行為」とみなされたのです。
鈴木英司さん
「(中国国営の)新華社で報道していないものは、全て(機密)情報の対象になる (と検事に言われた)。『じゃあ、新聞記者はみんなスパイじゃないですか。違いますか?』と言ったら、笑ってました。冷たい目をして笑っていました」
今年10月、ようやく日本に戻った鈴木さん。拘束前、96キロあった体重は68キロにまで減っていました。
鈴木英司さん
「世界を引っ張っていく国が、ああいう人権状態でどうなのか。今の習近平氏含め、党の体質は、私はこれは間違いではないかと思う」
(2022年11月15日放送「news every.」より)
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