韓国では、「人生を変える」とまで言われる大学入試が17日朝から始まっている。例年、受験生の保護者や後輩が大きな声援を送ることで有名だが 今年の様子はどうなっているのか。
■リスニング試験中は…“離着陸”も禁止
出身大学で将来が決まると言われるほど、超学歴社会の韓国。まさに今、韓国の学生たちは将来をかけ、受験に挑んでいる。
受験生:「緊張しています。これまでの成果を発揮してきます」「ドキドキしています」「(Q.準備万全ですか?)いいえ」
そんな受験生をサポートするため、毎年、恒例となっているのが、試験会場に遅刻しそうな受験生のために白バイやパトカーが出動。
さらに、試験当日は地下鉄などが増便されるほか、英語の聞き取り試験中は航空機の離着陸も禁止される。
まさに、国を挙げて受験生をサポートしているのだ。
そして、会場に入る受験生を待ち構えているのが、後輩たちなどによる応援だ。
しかし、新型コロナ拡大により、ここ数年は応援が禁止されていた。今年は3年ぶりに応援が復活すると期待されていたが、試験会場前には応援団ではなく、多くの報道陣が…。
先月、158人が犠牲となった、梨泰院(イテウォン)の事故などを受け、今回、応援が行われるかどうかが注目されていた。
しかし、今年も禁止となった。
■若者の就職難…浸透する「地獄・朝鮮」
競争が激しい大学入試を突破したとしても、若者を取り巻く現実は厳しいものになっている。
韓国の若者の間では、厳しい競争社会にさらされている状況を自虐的に表現した言葉「ヘル・朝鮮」、つまり「地獄・朝鮮」が浸透している。
韓国の教育開発院によると、2020年に4年制大学を卒業した人の就職率は61%にとどまっているという。
なぜ、ここまで低いのか。韓国の年代別の人口を見てみると、40代から50代が最も多く、労働人口の中心を占めているため、若者の働き口が少ないことが原因の一つとみられている。
この若者の就職難は、韓国に深刻な影響を与えている。
16日に公表された韓国の「2022年社会調査」によると、結婚について「結婚しても、しなくてもよい」や、「すべきでない」と回答した人が46.8%と半数近くに上った。
この調査は、すべての世代を対象にしたもので、若者に限定すると、さらにこの割合が高くなるとみられている。
その理由は「結婚資金が足りない」が28.7%と最も多く、「雇用状態が不安定」が14.6%など、経済的な理由から結婚を諦めざるを得ないケースが多いようだ。
そうしたこともあり、一人の女性が一生に子どもを産む数である合計特殊出生率は去年、0.81とOECDのなかで最低だった。
このニュースを報じたハンギョレ新聞は見出しで「韓国人が消える。出生率問題の終わりが見えない」と報じた。
その一方で、韓国経済新聞によると、2065年には65歳以上の高齢者が全人口の半数になるといい、年金の問題が懸念されている。
韓国の国民年金は、10年以上保険料を払えば満62歳から年金の支給を受けられるが、2055年ごろには積立金が底をつくと予測されている。
つまり、年金制度を維持するためには、保険料を納める若者の数を増やさなければいけないということだ。
では尹(ユン)政権は、こうした問題にどう取り組んでいくのか。
龍谷大学の李相哲教授によると、「若者に対する政策として『希望』『公正』『参加』を掲げ、希望を持てる社会を目指そうとしている」という。
具体的には、若者向けに割安で提供する「青年住宅」を2025年までにおよそ27万戸整備するということや、若手政治家を重要ポストに置くことなどに取り組んでいくとみられている。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2022年11月17日放送分より)
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