日本と同様に、ハロウィーン直前の週末でにぎわっていた韓国・ソウルの繁華街、梨泰院(イテウォン)で大惨事が起きました。狭い路地に殺到した人たちが折り重なるように倒れ、これまでに153人の死亡が確認されています。なぜここまで被害が拡大したのか、映像などから分析しました。
撮影者:「何か騒いでる、騒いでる」
29日夜、ハロウィーンで混雑する韓国・ソウルの繁華街、梨泰院。地元警察によりますと、梨泰院の周辺にはおよそ10万人もの人が集まっていたといいます。
撮影者:「人ごみに押されているんですが何ですかこれ?何か押し戻されています」
事故の直前、現場近くにいた日本人がこの時の恐怖を語りました。
撮影者:「私の体が圧迫されて、おなかが痛くなるぐらいの時がありました。ここで転んだら多分、潰されて死ぬのかなと正直、思いました」
そして、このおよそ1時間後、わずか50メートル先の路地で事故が起こりました。大勢の人がこの道幅の狭い坂道に殺到し、折り重なるようにして倒れこんだといいます。
男性:「みんな倒れていて、救急隊員が心肺蘇生をしたり、辺りを規制していました」「(Q.移動はできましたか?)できませんでした。押されて行く感じでした…押されながら前に進んでいました」
女性:「一歩も身動きが取れないほどでした。事故直後に現場に着いた時には、すでに救急車が来ていました」
現場では、救急隊員たちがストレッチャーに乗せた人たちを次々と搬送していました。人手が足りないのでしょうか、仮装した人たちも心臓マッサージをしています。
これまでに153人の死亡が確認され、そのほとんどが10代から20代ということです。
こうしたなか、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は30日午前、事故現場を視察しました。
韓国・尹錫悦大統領:「国民の生命と安全の責任者である大統領として心は重く、哀惜の念に堪えない思いです。事故の原因を徹底的に調査し、同様の事故がないよう根本的に改善します」
尹大統領は、この事故の対応を国政の最優先順位に置き、原因の調査を徹底して再発しないよう根本的な改善を行うとしました。
今回の犠牲者の数は、304人が死亡した2014年の「セウォル号」沈没事故以降で最多となるとみられています。
今回、韓国メディアは安全管理にあたる警察や自治体の準備不足を指摘しています。
ソウル中心の梨泰院は、アメリカ軍の基地が近くにあったことなどから、外国人が多く訪れる場所です。飲食店やナイトクラブが立ち並び、路地に入ると狭い道が多く存在します。
ハロウィーンの時期には仮装した多くの若者でにぎわい、今年は新型コロナウイルスの規制の緩和を受けて、3年ぶりに多くの人が繰り出していました。
また、人気ドラマ「梨泰院クラス」の舞台ともなっていて、日本人の観光客にも人気があります。
街の人:「(コロナで)2年間たまっていたストレスを発散するために普段より多くの人が集まったのに規制ができていなくて、ある意味、人災だと思います。ただ気の毒です」
なぜ事故は起きてしまったのでしょうか。現場では警察などが発生原因を調べています。
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