「物価の番人」たる日銀の黒田総裁が10年の任期まで半年を切りました。きょうから金融政策決定会合が始まりましたが、急激な円安にも頑なに動かない黒田総裁にアベノミクスの元ブレーンも苦言をしています。
生活困窮者の相談会には…
相談者
「だいたい食べ物だよ。出勤日数が減って、給料も3、4万下がっちゃった」
相談者は2か月連続500人を突破。代表はこの10年で大きな変化を感じているといいます。
認定NPO法人 自立生活サポートセンター「もやい」 大西連理事長
「10年前は失業したり、仕事がない方が支援を求めてくるのが圧倒的に多かったが、今来られているのは働いているけど、生活が苦しい人」
街の人は。
50代税理士
「貧富の差がすごく激しいなと」
60代会社員
「（生活が）苦しくなるばっかりで、どうしたものか」
デフレに苦しんでいた日本経済を立て直そうと、安倍総理が打ち出したアベノミクス=3本の矢。その1本目に掲げられたのが金融緩和です。
黒田日銀総裁（2013年）
「これまでとは次元の違う金融緩和」
市場に供給する資金の量を「2倍」に増やし、「2年」で「2%」の物価上昇を達成すると宣言した黒田総裁。“黒田バズーカ”とも呼ばれた「異次元の金融緩和」の始まりです。75円台という最高値もつけた円高を、一気に円安に誘導。輸出企業が多い日本の株価もはね上がりました。
男性（2013年）
「絶好調ですね」
アメリカに住むアベノミクスのブレーン、イエール大学の浜田宏一名誉教授を訪ねました。黒田総裁の評価は…
イェール大学 浜田宏一名誉教授
「2018年ぐらいまでの間に500万人ほどの雇用を作った」
円安に誘導した結果、雇用者数を急増させたことが最大の成果だと評価します。
しかし、町の人は…
50代会社員
「（企業の）内部留保がちょっと積み上がった感じがして、それが労働者側に反映されなかった」
企業がため込む内部留保は毎年のように増加。一方で賃上げは進まず、実質賃金はむしろ減少しています。追い打ちをかけたのが円安と物価高です。
黒田日銀総裁
「金利を引き上げるというようなことはない」
発言する度に円安は加速。「物価の番人」が円安による物価上昇を放置しているという批判も。
階猛衆院議員
「政府は一生懸命円安を止めようとしているのに、日銀は円安を加速するような異次元の低金利をやっている。辞めるか辞めないか、どっちなんですか」
黒田日銀総裁
「辞めるつもりはありません」
頑なな姿勢には浜田氏も。
イェール大学 浜田宏一名誉教授
「頑なになって、（現在の金利抑制策を）いつまでも守るんだという風にはならなくてもいいんじゃないか。かなり円安になってると思いますので、短期に金利を上げるなり何なりして、一旦中止して金利を上げるということがあってもいい」
金融緩和の見直しを検討すべきと指摘し、黒田総裁に苦言を呈しました。
与党閣僚経験者
「もう黒田総裁は辞めるから関係ないよ。結果が良くないからね、世紀の大失敗だね」
日銀はきょう、あすと金融政策決定会合を開催。あすの会見で黒田総裁が発言を修正するのか、世界が注目しています。
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