中国で、18日に発表されるはずだった7~9月期のGDP=国内総生産の発表が、急きょ、延期となりました。
ゼロコロナ政策に伴うロックダウンなどの影響で、GDPも落ち込み、中国政府が年間目標に掲げた5.5%前後のプラス達成は厳しい見通しでした。中国国家統計局は、発表延期の理由を説明していません。習近平総書記が、異例の3期目続投を目指す敏感な時期であることを配慮した可能性が取りざたされています。
ゼロコロナ政策に翻弄されながら、もがき続けている人たちがいます。
中国でも、いまや不可欠な存在となった宅配ライダー。そのほとんどが、地方からの出稼ぎ労働者です。劉さん(37)も、その1人。家族で営んでいたマッサージ店は、コロナ対策による営業規制で倒産しました。妻や息子と離れ、北京で出稼ぎを続けています。
宅配ライダー・劉威さん:「早起きして夜は9時まで。1日70~80件、配達している。結構、いい収入になりますよ」
宅配ライダーは、特別な資格は不要で、一般的な出稼ぎに比べたら収入も多く、体力のある若者に人気の仕事です。ところが、活気づいていたこの市場もゼロコロナ政策の影響にさらされます。
ロックダウンされた上海の映像です。働かなければ収入の途絶える宅配ライダーが、橋の下で野宿を続けていました。家に戻れば、外出できなくなる恐れがあるからです。
宅配ライダー:「多いときは、ここに50~60人いた」
劉さんは、家賃7万5000円の部屋で、共同生活を送っています。全員、出稼ぎの宅配ライダーです。生まれや年齢、過去の境遇も異なりますが、目標は1つ、お金を稼いで家族の元に帰ること。小学生の息子とのビデオ通話が、劉さんの毎日を支えています。
そんななか、マンションに住む全員にPCR検査を行うという通達がありました。北京でも感染が拡大し、劉さんが暮らすエリアも、一時、封鎖されることに。唯一の楽しみだった数カ月に1度の帰省を延期しました。
大通りには、党大会を祝う飾りつけが施され、祝賀ムードを盛り上げます。
宅配ライダー・劉威さん:「これまで政治の話なんて考えたこともない。リーダーがちゃんとやっているかとか、そんなのは遠い話です」
ゼロコロナ政策とともに、住宅市場政策も、依然、中国経済の足かせになっていました。
上海の住宅の建設現場。1年以上工事がストップしているといいます。本来なら、今年の4月に完成している予定でしたが、完成前から廃墟のような状況です。この物件は、上海市当局が差し押さえたそうです。現場にも「工事再開」の垂れ幕が掲げられていたのですが、工事関係者は、こう話します。
工事関係者:「(Q.工事は再開したか)工事をする資金がない。お金が入ったら、再開する」
中国国内では、購入者が住宅ローンの支払いを拒否する動きも広がっていて、先行きに懸念が強まっています。
エコノミストの崔真淑さんは、「中国経済にとっては、“不動産規制”が、今後、大きな足かせになり、特に各自治体には影響が大きい。実は、自治体の主力財源は土地使用権でしたが、不動産規制などにより財務状況は年々悪化。このままだと財政難に陥る自治体も出てくる」と話します。
「中国では、地方債の仕組みや、少子高齢化に陥った背景など、日本を参考にしてきたという研究もあり、日本が低成長に陥ったのは、財政赤字が増えたことも一因とみられている。中国政府は経済成長はしつつも、財政健全化は譲れないのではないか。この状況はまだ続くだろう」といいます。
日本への影響ですが、崔さんは「中国は引き続き、ゼロコロナ政策で観光業への影響は大きい」といいます。また、「中国は、日本の最大の輸出相手。円安を武器に輸出企業を盛り上げようとする日本にとって悪影響だ」と話します。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp