マイナンバーカードの取得が“実質義務化”されることになりました。河野デジタル大臣が再来年の秋までに現在使われている健康保険証を原則廃止し、マイナンバーカードと一体化すると発表しました。背景には、岸田総理の“苦い思い出”が…
■健康保険証とマイナカードが一本化 事実上の義務化へ
河野太郎デジタル大臣
「転職、就職、退職のたびに保険証を切り替えなければならない、そうしたことが必要なくなりますので利便性はあがっていく」
健康保険証がマイナカードに一本化されるメリットを強調した河野大臣。
すでに2021年10月からは、端末が置かれている病院や薬局では、健康保険証がなくてもマイナンバーカードさえあれば、診察や処方薬を受けることができるようになっています。また、マイナ保険証は問診票を書かなくても、いわゆるメタボ健診の結果や処方された薬の情報を薬局や医師と共有できます。
薬剤師
「重複投与や一緒に飲んではいけない薬の組み合わせを確認できる」
健康保険証が原則廃止されるのは2024年の秋。この方針によってマイナカードの取得が事実上、義務化されることになります。街の声は…
50代女性
「そのあと免許とかいろいろメリットが出てくるじゃないですか。財布の中がすっきりするかなと」
50代女性
「任意、任意っていいながら、国にすべてを管理されてしまうのかなって」
20代男性
「今まで分けて個人情報を集めていたものが、ひとつになるっていうことなので、そこだけ(情報漏洩を)強化すればいいのかなっていう風に思いますね」
60代男性
「デジタル化の動きが遅すぎますね。もっと大胆にやってもらわないと。もう後進国ですもんね」
■交付率49%に“ムチ”で普及へ 背景に岸田総理の“苦い思い出”
これまでマイナポイントという“アメ”でカードの普及を目指してきた政府。それでも交付率は9月末時点で49%と半数に届いていません。今回、実質義務化という“ムチ”で普及を目指すことになりました。背景には岸田総理の2年半前の“苦い思い出”があります。
コロナ給付金の際には、デジタル化の遅れにより現場が混乱。当時、岸田総理は自民党の政調会長として対応にあたっていたのです。総理の周辺は当時…
総理周辺
「国民からの申請を待つことなく、政府から一律に給付する仕組みは日本にはない。これを実現させるためにはマイナンバーを完全普及させるしかない」
カード普及に向け、高齢者や社会的弱者を取り残さない対策も政府に求められています。
■国民に丁寧な説明がされないまま“実質義務化”に
国山ハセンキャスター:
原則義務化されるマイナ保険証。どんなメリットがあるのでしょうか。
まずは、専用のサイトで自身の診療履歴や、そこで処方された薬の使用歴を簡単に確認できるようになります。また、医療機関同士でも診療記録や処方された薬の情報を共有できるということで、より迅速な医療が受診できるようになります。
小川彩佳キャスター:
メリットも多くありますが、不安の声も多く聞かれますよね。実質義務化されることになりそうだという点についてどう思いますか?
東京経済大学 現代法学部 上机美穂教授:
実際に賛否両論あるところですが、行政事務を迅速化するためにはマイナンバー制度自体は必要なものではないかと思います。
ただ、制度の利便性や個人情報がどう扱われるかということがしっかり説明されないまま、国民が理解しないまま事実上の義務化に踏み切ってしまったということについては、少し懸念があるかなというところです。丁寧な説明がされないままポイントなどによるカードの作成が図られたことによって「情報流出が怖い」という印象、不安を持つ方がいることについては、まだ解消されていないのではないかと思います。
■3割以上が「情報流出怖い」利用拡大に向けて情報収集・保管・管理のルールが必要
国山キャスター:
「情報流出が怖い」という言葉がありましたが、デジタル庁の調査ではマイナンバーカードを取得しない理由として、やはり「情報流出が怖い」という人が35.2%に上っています。
一方、政府は現在▼社会保障(年金・労働・医療・福祉)、▼税、▼災害の3分野に限っているマイナンバーの利用をさらに拡大することも検討していまして、より多くの情報がマイナンバーに紐づけられる可能性はあります。
小川キャスター:
あらゆる情報が一元化され、紐づけされることになると心配になるのがやはり情報管理の点です。例えば特定の省庁や自治体だけが見ることができるはずの個人情報を、別の省庁や自治体が閲覧できてしまうということはないのでしょうか?
東京経済大学 現代法学部 上机教授:
現段階で行政は「それはない」と否定していますし、そのための方策も準備しているところかと思います。ただ、今後紐づけられる情報がさらに増えていくなかで、意図的ではなくとも“ヒューマンエラー”のようなものが起こりうる。あるいは誰かまったく知らない人が情報を見れてしまう可能性は「ない」と言い切ることはできないのではないかと思っています。…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20221014-6045902)
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