医療現場のデジタル化を推進するため、12日、『医療DX推進本部』が発足しました。本部長は岸田総理です。
岸田総理:「医療分野でのデジタルトランスフォーメーションを通じたサービスの効率化や質の向上により、国民の保険医療の向上を図るなど、実現に全力を挙げていく考え」
デジタル化のメリットを国民や医療従事者が早く感じられるよう、政府は、2年後をめどに、今の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体化した“マイナ保険証”に切り替える方針です。
医療現場では、去年10月からマイナ保険証の運用が始まっています。
常喜医院・常喜眞理院長:「顔写真付きでピッて認識されるので、手違いはないことと、保険証が切り替わったときスムーズに情報がわかる点は圧倒的にいい」
事務作業の簡略化以外にもメリットがあるといいます。
常喜医院・常喜眞理院長:「お薬の情報や特定健診の情報が、紙ではなくて、データとして見られることがスムーズに動き始めるだろうな。患者さんにとっては、認識していないお薬同士の組み合わせが悪いなど、薬局に行く前にわかると、さらに利便性が上がると思う」
一方、課題もあります。政府は、来年4月から医療機関や薬局にカードリーダーの設置を義務付ける方針ですが、現時点で3割ほどです。そもそもカード自体の普及が半数程度にとどまっているという課題もあります。
常喜医院でも、マイナ保険証を利用した人は、1年間で1人だけだったそうです。
常喜医院・常喜眞理院長:「パスポートと同じような感覚があるので、日常的にマイナンバーカードを持ち歩くことに心のハードルがある」
今から7年前に始まったマイナンバー制度。ただ、カードを作るかどうかは任意です。政府は新たにカードをつくり、給付金の受け取り口座などを登録した人に最大2万円分のポイントを付与するなど、普及促進に取り組んできましたが思ったように進みませんでした。そこで浮上したのが、今回の方針です。
厚労省大臣経験者:「マイナンバーカードの普及が一番の狙い。最初は運転免許の方だったが、警察がごちゃごちゃ言って進まなかった。皆保険制度で国民全員が持っている保険証を優先させようとなった」
マイナンバーカードの事実上の義務化には、賛否両論あります。
20代:「まとめてもらえるのは有難い。カード2枚が1枚になるのは、財布の中が整理できるのかなと」
50代:「できれば一緒にせずに別々に選択して、使いたい人はマイナンバーカードで、使いたくない人は健康保険証でというシステムにしてもらいたい。セキュリティが怖い」
60代:「個人情報って、名前と生年月日でも言いたくないのに、それが全部ひもづくと、何かあったときに全部漏洩されても困っちゃうし、
40代:「国としては、管理しやすいんでしょうけど、管理される側は、心理的な不安感はある。どこまで見られるのか範囲が知りたい。自分でも確かめられるようなシステムだと有り難い」
今後、政府は、ほかにもマイナンバーカードの活用の幅を広げていくことを検討しています。今年度内に、カードの機能をスマートフォンへ搭載することを目指しています。ただ、アンドロイド版のみです。また、パスポートのオンライン申請が可能となります。2024年度末には、運転免許証と一体化される予定で、時期については、さらに前倒しできないか検討中だといいます。
なくしてしまった場合は、コールセンターに連絡すれば、24時間365日対応してくれて、カードの一時停止が可能です。また、不正に情報を読みだそうとすると、ICチップが自動で壊れる仕組みになっています。再発行はできますが、自治体によって数カ月かかるところもあるそうです。
マイナンバー制度に詳しい野村総合研究所の梅屋真一郎さんは、「カード自体に氏名・住所や個人番号が記載されているが、プライバシー性の高い情報が集約されているわけではないので、カードを使って情報にアクセスするのは難しい」としています。
政府は、普及を進めていますが、交付率を見ますと、11日時点で49.6%。来年3月末までには、ほとんどの国民にカードが行き渡ることを目標にしています。
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