南ウクライナ原発に攻撃があったとして、ゼレンスキー大統領が公開した動画です。今、なぜ「原発」なのか。プーチン大統領の狙いを専門家の方に伺いました。
行われていたのは遺体の掘り起こしです。ウクライナ北東部ハルキウ州の要衝の街イジューム。ロシア軍が撤退した後、集団墓地が見つかりました。ハルキウ州知事の発表ではこれまでに146人の遺体が掘り起こされたといいます。
地元警察:「民間人と兵士の遺体は棺(ひつぎ)を使わずに埋められていました」
なかには、手を縛られた遺体や拷問の痕がみられる遺体もあったそうです。
イジュームの北に位置するクピャンスクでは拷問部屋が見つかっています。
拷問を受けた男性:「この部屋で尋問されました」
ウクライナ軍のコックだという男性。ロシア軍に拷問されたといいます。部屋の中からは、電気ショックを与える道具も見つかりました。
拷問を受けた男性:「この部屋を出ても1週間以上は落ち着かなかった」
次々と明るみになる残虐行為。今月に入り、ウクライナはハルキウ州の多くの地域をロシア軍から奪還しています。
19日には東部ルハンシク州の知事が、新たに1つの村を取り返したと明らかにしました。
南部へルソン州についても、アメリカのシンクタンクがウクライナ軍は、今後数週間で、西部のほとんどを奪還する可能性が高いとの見方を示しています。
ゼレンスキー大統領:「ハルキウ州は安定した状態を保っています。ロシア軍にできることは2つ、『去るか』『降伏するか』です」
攻勢を強めるウクライナ。そんななか、劣勢のロシア軍が攻撃したとされるのは原発です。
神戸学院大・岡部芳彦教授:「ロシアとしては戦場での敗北というのが立て込んで起こっていますので、『目の前のインフラを攻撃する』ことに活路を見いだしているのかなと」
専門家によると、更に先を見据えた戦略でもあるといいます。電力供給の遮断です。
神戸学院大・岡部芳彦教授:「ウクライナは寒くなってくるので」
19日、ウクライナ国営の原子力企業エネルゴアトムが南ウクライナ原発がロシア軍のミサイル攻撃を受けたと発表しました。
ウクライナには5つの原発がありますが、現在、ザポリージャ原発がロシア軍に占拠され、6基すべての原子炉の運転を停止しています。
南ウクライナ原発は、ザポリージャ原発の西側に位置する国内で2番目に大きい原発です。
ウクライナにとってかなり重要な施設と解説するのはウクライナに詳しい神戸学院大学、岡部教授。
神戸学院大・岡部芳彦教授:「データによっても違うが、25%から30%、ウクライナ国内に(電力を)供給しているのでは」「(Q.止まると)影響は大きい?)大きいですね」
今回の攻撃、ロシア軍が撃ったとされるミサイルが原子炉からおよそ300メートルの場所に着弾したといいます。
建物の窓が割れるなどの被害が出ましたが原発の運転に影響は出ていないということです。
ゼレンスキー大統領はロシアは全世界を危険にさらしていると非難。
国際原子力機関のグロッシ事務局長も原発の安全を脅かす、いかなる軍事行動も受け入れられないと述べています。
神戸学院大・岡部芳彦教授:「(Q.ウクライナ軍が攻勢を強めているからロシア軍が焦って原発を攻撃した?)それは十分に考えられます。軍事的なオプションが狭まっている。ロシア軍の。そんななか、数少ないオプションが『インフラ攻撃』。そして、その最大のものが原発を攻撃することだったのでは」
なぜインフラを狙うんでしょうか。岡部教授は、ロシア軍のある狙いを指摘します。
神戸学院大・岡部芳彦教授:「ウクライナはこれから寒くなっていく時期で、現在でも最低気温が一桁台になってきている地域が多く、11月末になると0℃近くになり、12月に入るとマイナスに。そんななか、冬に暖房なしで過ごすのが不可能になってきますので、そういうことも狙っての攻撃では」「(ロシアの)識者が興味深いことを言っていて、『インフラ攻撃でウクライナの人たちの半分くらいが暮らせなくなったら』『EUに難民として行く』『そういう戦略もとるべきだ』と」「(Q.ロシア側はEUもウクライナも困らせたいと?)その通り、両方あるのではないか」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp