ウクライナ侵攻を巡り、ロシアで部分動員令に反対する抗議活動が拡大しています。部分動員令を巡っては、ロシア高官の息子が招集を拒否したとされる音声が公開されていますが、このやり取りを公開した団体が25日午後、取材に応じました。
拘束される抗議デモ参加者:「我々は大砲の餌食ではない!」
ウクライナに軍事侵攻してから7カ月。ロシア国内では国民の部分動員令に反対する抗議行動が日に日に広がりをみせています。
拘束される抗議デモ参加者:「撮ってないよ…やめろよこの野郎!」
警察の機動隊:「このデモに参加することをやめなさい!すぐさま行動をやめなさい!警告します!」
プーチン大統領は、新たに動員する規模は30万人で、対象は軍務経験のある予備兵に限られると述べていました。
しかし、独立系ニュースサイト「メディアゾナ」は兵役の経験のないまま招集された男性について伝えています。
また、別の独立系ニュースサイト「ノーバヤ・ガゼータ・ヨーロッパ」は動員規模は30万人ではなく、実際には「100万人を徴兵できる」と伝えていて、今、ロシア社会に反発と動揺が広がっているのです。
警察の機動隊:「おとなしくしろ!地面に!地面に!横たわれ!ほら!」
独立系人権団体「OVDインフォ」によりますと、日本時間25日午後4時時点で、ロシア33都市で797人が拘束。特に首都モスクワでは390人以上が拘束されたといいます。
一方、招集に応じる予備兵たちもいました。
招集に応じた予備兵:「娘と一緒に幼稚園に行ったら、道で招集令状を渡されたんです。すぐにここに来ました。大丈夫です、落ち着いています。期間が長くならないことを願っています」「一番つらいのは子どもたちに別れを告げることです。あとはなんとか…」
そんななか、ペスコフ大統領報道官の息子が招集を拒否したとされるやり取りが公開されて、反響が広がっています。
ペスコフ報道官の息子、ニコライ氏:「もしもし?」
反体制派の団体、ドミトリー氏:「こんにちは、ニコライさんですか?」
ペスコフ報道官の息子、ニコライ氏:「どちら様ですか?」
反体制派の団体、ドミトリー氏:「こちらは徴兵事務所です。今、時間ありますか?」
ペスコフ報道官の息子、ニコライ氏:「いいですよ」
電話を掛けているのはロシアの反体制派の団体で、当局者を装い、ペスコフ報道官の息子に徴兵施設への出頭を求めたのです。
反体制派の団体、ドミトリー氏:「ニコライ・ぺスコフさん、本日あなたに招集令状が出されましたので、お伝えしなくてはなりません。あなたはまだ良く理解されていないようですが、令状に従って、あす朝10時に徴兵事務所に来て下さい」
ペスコフ報道官の息子、ニコライ氏:「もちろん行きません。 私はぺスコフですよ、理解していますか?なぜ、私が徴兵事務所に出向かなければならないのですか?これは違うレベルの話で、私の件はどうなるかよく考える必要があります」
AFP通信によりますと、この映像についてペスコフ報道官は会見で、この件については息子から聞いていると説明し、動画の発言は一部のみを切り取ったものであるなどと反論しています。
ペスコフ報道官の息子・ニコライ氏に電話した団体は25日午後、取材に応え反論しました。
映像を配信したロシアの反体制派団体、ドミトリー氏(35):「ネットでライブ配信していたのでやり取りは全部入っている。ペスコフ氏に感謝している。『私の息子ではない』と言えたが、彼はあっさり息子と認めてくれた。ロシアの政治家は国民を戦地に送るが、自分たちの息子は送らない」
人員不足が伝えられているロシア軍の危機感の表れなのでしょうか。
ロシアは、実効支配するウクライナ東部・ドネツク州や南部のヘルソン州などの4つの州で住民投票を開始。ロシアへの編入を急いでいます。
タス通信によりますと、これらの地域では早ければ30日にもロシアへの編入手続きが行われる見通しで、プーチン大統領が手続きに参加する可能性があると報じています。
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