ウクライナ侵攻後、初となる対面での中ロ首脳会談がまもなく行われます。ロシアとの距離に揺れる中国の出方は。一方、反転攻勢を強めるウクライナから心配なニュースも入ってきています。
その一報に、緊張が走りました。ウクライナメディアが、SNSに投稿した「事故現場」とされる映像。
15日、ウクライナの大統領報道官が、「ゼレンスキー大統領が乗っていた車が首都キーウで乗用車と衝突する交通事故にあった」と明らかにしました。
幸い、ゼレンスキー大統領に深刻なけがはなかったということです。
この事故の前のこと、ゼレンスキー大統領の姿が要衝の街イジュームにありました。
今年3月以降、ウクライナ北東部・ハルキウ州の多くがロシア軍に占領されてきましたが、今月に入り、ウクライナ軍が州のほとんどの地域を奪還。10日には、ロシア軍がイジュームからの撤退を表明し、数千人のロシア兵が退却しています。
14日、急きょイジュームを訪問したゼレンスキー大統領。気さくに写真撮影に応じるなどウクライナの兵士らをねぎらい。
ゼレンスキー大統領:「死者を追悼するために1分間黙祷(もくつ)しよう。亡くなった兵士らは私たちの土地を解放した本物のヒーローだ。自分の命という両親から与えられた最も価値あるものを差し出した」
亡くなった人たちに、黙とうを捧げました。
街を見たゼレンスキー大統領は、ウクライナ全土奪還に向け、決意を新たにしたようです。
反転攻勢を強めるウクライナ軍。ハルキウのほか、黒海に面した南部・ヘルソン州の領土も一部奪還しています。
一方のロシア、この状況に国内では公然とロシア軍に対する批判の声が上がり始めていますが。
14日、ロシア産肥料の輸出再開を巡り、プーチン大統領と電話で会談したことを明かした国連のグテーレス事務総長。会談のなかでこう感じたそうです。
国連・グテーレス事務総長:「ロシアが和平交渉に応じる可能性が近づいていると考えるのは甘いだろう」
そのうえで、「停戦はプーチン大統領の視野にない」などと語っています。
ドイツのショルツ首相も、13日にプーチン大統領と電話会談したことを明らかにしましたが、「プーチン大統領のウクライナ侵攻に対する姿勢に、変化の兆候は見られない」と述べました。
ただ、劣勢が続くプーチン大統領に「焦り」はないのでしょうか。
慶応義塾大学・廣瀬陽子教授:「焦りを見せてしまうと、国民にも、ロシアが負けているんじゃないか?という感覚が伝わってしまう。ロシアメディアも撤退ということは国民に伝えていない。あくまで“再編成”という言葉を使って(撤退を)国民に隠している。(プーチン氏としては)あくまで平静を保ちつつ、心の中では“どうやったら状況を改善できるのか”と、大きな焦りはあると思う」
状況の打開をもくろむプーチン大統領。やはりこの人物が“カギ”を握りそうです。
新型コロナ拡大後、初の外遊で中央アジア・ウズベキスタンに到着した、中国の習近平国家主席。この後、現地でプーチン大統領と会談する予定です。
プーチン大統領は習主席に何を求めるのでしょうか。
慶応義塾大学・廣瀬陽子教授:「中国としては、軍事的な協力というのは絶対にしないと思います」
15日、ウズベキスタンに到着したプーチン大統領。15日から2日間にわたって開催されるのは「上海協力機構」の首脳会議です。中国、ロシア、インドなどの加盟国が政治・経済など様々な分野について協議し、協力関係を確認します。
この会議に合わせ、プーチン大統領と習近平国家主席の直接会談が設定されたわけですが、ロシア側の狙いは。
慶応義塾大学・廣瀬陽子教授:「まず中露が非常にいい関係であって、ロシアは常に中国のサポートを得ているのだと欧米に見せたい。情報戦の一種にもなってくると思うが、“ロシアは決して孤立していない”“困っていない”ということをいかにアピールするかの意味合いが非常に大きい。中国から見ると(ロシアとの会談は)“ついで”のわけですが、ロシアにとっては“渡りに船”のタイミングの会談といえる」
廣瀬教授は、「劣勢が続くロシアとしては、是が非でもこのタイミングで中国のサポートを得たいはず」と指摘。ただ、求めるのは「あくまで“経済支援”ではないか」と分析します。
慶応義塾大学・廣瀬陽子教授:「ロシアとしましては、中国との関係において、本当は武器の供与、武器でのサポートをしてほしい。しかし、中国は制裁を恐れているので、ロシアに兵器を売らないのは自明のこと。いくらプーチン大統領が習近平氏に言ったところで習近平氏の気持ちが変わることはほぼ想定できません。ロシアは世界から経済制裁にあって、経済的に厳しい局面にある。ロシアが今、一番売りたいのは石油と天然ガス。これが欧米の制裁にあって、欧米に売れない状況になっているので、中国になるべくたくさん資源を買ってもらいたい。(ロシアは)今、中国・インドなどにすがるしかない状況。そういう国により多く石油・天然ガスを買ってもらうことがヨーロッパへの圧力になる」 (C) CABLE NEWS NETWORK 2022
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp