旧統一教会と政治の問題です。
自民党は教団との関係が深いと判断した国会議員121人の氏名を公表しました。
しかし、今回、氏名が明かされなかった国会議員と教団とのつながりを示唆する資料がありました
▽“教団”接点リストに無い自民党議員の名前が…
(自民党 茂木敏充幹事長)
「かなり細かいといいますか、詳細な内容について、点検・事実確認をしていると思う」
8日、自民党が明らかにした、旧統一教会と国会議員との関係。
しかし、ジャーナリストの鈴木エイト氏は名前が公表されなかった、ある国会議員と教団のつながりを示す内部資料を入手しています。
(ジャーナリスト 鈴木エイトさん)
「統一教会の関係の中の女性信者に対する『指導者セミナー』という冊子があるんですけれども、その中に安倍晋三さんと山谷えり子さんの名前が入っていたということです」
2005年に、教団の友好団体で作成されたとみられる資料。2人の名前は「現在の課題となすべきこと」のページに記されています。
「第二次5カ年計画(基本計画)においてジェンダーという文言を使用させない。安倍晋三官房長官と山谷えり子内閣府政務官でチェックできるように関係省庁、議員に積極的に働きかける」
自民党の山谷えり子参院議員は、国家公安委員長などを歴任した、安倍派所属の保守政治家です。
2005年当時、山谷氏は資料にあった「第二次男女共同参画基本計画」について政府を追及していました。
(自民党 山谷えり子 参院議員)
「ジェンダーフリーというどこの言葉でもない、英語のようですが全然英語ではない、勝手に日本が作った勝手な定義もわからない言葉を使って一人歩きさせたり混乱が起きているわけです」
ジェンダーフリーとは「男は仕事、女は家庭」といった性による社会的・文化的な差別をなくすことですが…
(山谷えり子 参院議員)
「そのジェンダーという概念そのものが定義もできない、専門家の合意形成もできないということをご認識でしょうか?もう一度お願いします」
山谷議員は資料に書かれた意向と同様に基本計画でジェンダーを使わないよう担当大臣の細田氏に繰り返し迫っていました。
(山谷えり子 参院議員)
「次の5カ年計画にジェンダーという定義を入れるべきではないと思いますし、また中性化を目指すようなプログラムを入れるべきではないと思いますがいかがでしょうか?」
(細田博之 男女共同参画担当大臣 ※当時)
「山谷委員のご趣旨をふまえまして取り組んでまいりたいと思います」
資料に記載がある教団の友好団体に、何のために作成したか尋ねると、
「ご指摘の文書について、弊団体としてはその出所や経緯、目的について、なんら承知致しておりません」と回答しました。
一方、この資料には、セミナーを受けた女性信者が書いた“メモ”も残されています。
「山谷えり子さんと相談して、いま戦いの中にいる」
(ジャーナリスト 鈴木エイトさん)
「教団が安倍晋三さんと山谷えり子さんに何らかの関係性を持って、報告をあげているという流れが見えるんですよね。政治家と統一教会がここで共鳴関係にあったと、何かしらの連携をしていた形跡があります」
▽「ジェンダー」文言めぐり“教団の関与”は?
伝統的家族観を重んじる統一教会は当時、ジェンダーの問題に加え若者への性教育などにも反対していたといいます。
山谷氏の国会質問の翌月、自民党は「過激な性教育・ジェンダーフリー教育・実態調査プロジェクトチーム」を立ち上げます。
座長は、安倍晋三氏。事務局長は山谷えり子氏が務め、メンバーには下村氏や萩生田氏もいます。
(自民党 安倍晋三 幹事長代理 ※当時)
「これは本当にまあ暴走してると思うね。ジェンダーフリーナチズムみたいな」
安倍氏も山谷氏の考えに同調します。
(自民党 ジェンダーフリー教育実態調査PT 安倍晋三 座長)
「いわゆる行き過ぎたジェンダーフリーの人たちがやっていること、性差そのものをなくしていく。これは明らかに間違いである。」
シンポジウムで司会を務めた萩生田氏はブログにこう書いています。
(萩生田光一議員の当時のブログより)
「ジェンダーフリー思想のフェミニストたちもしばらくは鳴りを潜めていたのですがここへきてまた教育現場でモゾモゾと動き始めた」
資料の矛先は、身内である自民党議員にも向けられています。
「猪口邦子議員が男女共同参画担当大臣になる。ジェンダー概念に執着」
当時、担当大臣として基本計画の取りまとめを担ったのは、男女平等や女性の社会進出に前向きな猪口邦子氏。
関係者によると、猪口氏に対し安倍氏や山谷氏などが圧力をかけていたといいます。
結局、12月に策定された基本計画にジェンダーという文言は残ったものの行き過ぎた性教育やジェンダーフリーを否定する注釈が入れられました。
(自民党 猪口邦子 男女共同参画大臣 ※当時)
「(ジェンダーという)表現において調整することは多々ありました…」
(山谷事務所)山谷えり子氏の事務所に、教団から資料に書かれているような働きかけがあったか尋ねると「ありません」と回答しました。また、安倍晋三事務所にも同じ質問をしましたが、「お答えすることはできません」とのことでした。
広島市で42年間、性教育に力を入れてきた産婦人科医の河野美代子さん。当時、講演会や集会を開く際に、“誹謗中傷のビラ”をまかれるなど妨害を受けたといいます。
(産婦人科医 河野美代子さん)
「統一教会(の信者)に妨害されないようにどうするかってすごいそれがテーマだったんです。乗り込んできますから彼ら。写真こっそり撮ったりしてね、写真とか録音とかでこんなことを言っているとか切るだけ切って、そこだけをつなぎ合わせたりして。河野は過激な性教育をするんだって言って」
安倍氏らが性教育もやり玉に挙げたことで河野さんたちの活動は停滞を余儀なくされたといいます。
(産婦人科医 河野美代子さん)
「山谷さんなんかそうですよ、避妊を教えることは家庭を壊すって。それでもって政治が動いたっていうのが本当に私許せないんですね」
▽“教団の選挙支援”示唆する文書や証言…山谷氏は
参院選で2004年から4期連続当選している山谷氏。
2010年の選挙戦で、旧統一教会から支援を受けていたことを伺わせる文書の存在が明らかになっています。
「私たち食口が一人5票、二、三家庭を固めていただくことがみ旨成就にとって必至でございます。山谷先生、安倍先生なくして私たちのみ旨は成就できません」
この文書は選挙戦直前、旧統一教会の問題を追及してきた有田芳生氏が入手したものです。
(ジャーナリスト 有田芳生氏)「これは統一教会の古参信者で幹部も務めた人に確認したところ、統一教会をあげて山谷えり子さんを応援するための指示文書の一枚とわかりました」
『ジェンダーフリー問題、青少年問題にとってなくてはならない先生』。
『相対的に有田退治になります』。
文書は、山谷氏が当選する意味合いを繰り返し説いています。
(山谷えり子氏)「今回参議院選挙全国比例4回目のチャレンジだったが1回、2回、3回、4回とも旧統一教会からご支援は受けておりません」
文書の中で支援をしたとされる教団の友好団体は「『内部文書』とは怪文書のたぐいであり、(中略)当時、山谷氏への支援に対し好ましく思わない声もあり、関係を持たなかったのが事実」と番組に回答しています。
一方、山口弁護士は相談に来た女性信者から「2003年に山谷氏を選挙支援した」と聞いています。
(全国霊感商法対策弁護士連絡会代表世話人 山口広弁護士)
「彼女(女性信者)が活動する地区で組織的に山谷えり子さんを支援することになったと、アベル(先輩信者)から指示をされて、どこかのマンションに住み込んで選挙の期間中、ウグイス嬢をした。他の信者の皆さんは、戸別訪問とかチラシ配りとかをやったと言ってた」
さらに番組が取材した元教団関係者も「教団の中で山谷氏はすごく有名、世界平和女性連合の支援を受けていた」と述べています。
番組はあらためて山谷氏に選挙支援があったか尋ねましたが「ありません」と回答しました。
(ジャーナリスト 有田芳生氏)
「山谷えり子さんと統一教会の政策というのは、まったく一致していると断言しても間違いではないという風に思います。山谷えり子さんと並んで安倍晋三さんの名前が出ているというのは旧統一教会の立場からすれば、安倍晋三さんに並んで山谷えり子さんが重要な位置にあるということを図らずも明らかにした内部文書であると思う」
9月11日『サンデーステーション』より
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