今月27日に行われる安倍元総理の国葬を巡り、野党が業者の落札について経緯をただしました。政府側は適正だったと強調しています。
秋の味覚「ナシ」の贈呈を受けた岸田文雄総理大臣。
一方で、あと3週間に迫った安倍晋三元総理の国葬。決行は待ったなしの状況。国会の議論はまだなく、準備だけが進んでいるようです。
岸田総理大臣:「まず、国葬についてはご指摘のように今週、閉会中審査等を通じて、国会で議論をする場を設けて頂くようお願いしています」「(Q.国葬の業務を当該会社が落札したのは適切か?)今回の落札については適正な手続きに基づいて行われたと認識しています。ご指摘の会社はこれまで振り返った時に、政府の東日本大震災の慰霊祭、毎年8月に行われております戦没者慰霊祭、これも全部、今回落札した会社が担当しています」
今月27日に行われる国葬の企画・演出などの業務を「桜を見る会」の会場設営を担当したイベント業者「ムラヤマ」が落札。そして、入札に参加したのは1社のみだったことが新たに分かりました。総理は「適正な手続きに基づいている」としています。
松野官房長官:「今回の入札は適正な手続きかという点については『ムラヤマ』と事前の個別打ち合わせを含め、特定の業者に便宜を図った等の事実は一切ありません。今般の契約は皇室の方々や国内外の要人が数多く参列すると想定される国葬儀を安全に滞りなく実施するために、必要な企画・演出・会場設営・装飾・会場内の警備等の業務を発注したものであります」
今回、1億7600万円で落札したムラヤマ。会社のホームページなどによりますと、東日本大震災の追悼式典や毎年8月の戦没者追悼式、吉田茂元総理の国葬などを担当した実績があります。
岸田総理大臣:「そもそも武道館でこうした事業を担うことができる業者は4社ほどに限られているということも聞いているなかで今回、入札が行われた。結果としてこの会社(ムラヤマ)が落札したということであります」
しかし、野党からはこんな声も…。
立憲民主党・山井和則議員:「忘れもしない『桜を見る会』の時に数年間連続して受注し、かつ『桜を見る会』の時には事前にまだ結果が決まってないのに内々に内閣府と打ち合わせをしたり、そういう疑念を持たれた事業者だった」
内閣府の担当者:「(国葬に関して)入札以前に打ち合わせを行っていたということはございません」
立憲民主党が国葬に関するヒアリングで指摘したのは2019年の「桜を見る会」を巡り、内閣府が入札公告前にムラヤマなどと打ち合わせし、開催スケジュールを伝えて当時、国会で野党から批判を受けた問題です。
加えて警備費など不透明な国葬の総額でも追及を受ける様相の岸田総理。当初の思惑に狂いが生じているのでしょうか。
立憲民主党・柚木道義議員:「1億7600万円で受注しているが、例えば過去『桜を見る会』についてはどんどん経費が増えているんですよね?『ムラヤマ』が入札をして…。ということは今後、例えば、想定外の色んな経費や演出も含めて掛かりました…となると、入札額より経費が増えて税金から払うことはあり得るのか?可能なのか?」
内閣府の担当者:「今回は一般競争入札ですので、説明会に参加された他の会社も含めてそれぞれ検討されて応札するかどうか判断されたと思うので、1社になったのは結果論としてそうなのかもしれないが、きちんと手続きを踏んで一般競争入札を行ったと認識している。今回はあくまで額を示して応札を頂いているので額の範囲内で行って頂くと」
岸田総理が国葬実施を表明したのは、安倍元総理の銃撃事件直後だった7月14日。多くの海外要人らが訪れ、「弔問外交」の機会が得られることや党内保守派など政権基盤を安定させる効果に期待したとの見方もありますが、その計算は徐々に狂ってきたといいます。
ジャーナリスト・後藤謙次さん:「政治側、官僚側の感度の鈍さを感じますね。セレモニーを滞りなく進めよう、見映えよくしようといったことが逆に出てもっと大きい不信を招いてしまった。岸田総理自身が早々と国葬を決めてしまっていて、これを今さら変更できないと。今回、旧統一教会問題が絡んでいるから下手に発言すると、その発言が自分にもブーメランのように跳ね返ってくる可能性がある。岸田総理の周りにこれといった実力者がいない。泥を被ってでも進言する、あるいは岸田総理の失敗を自分が責任取る、名乗りをあげる人が見当たらないのも岸田総理にとって不幸」
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