高島)
急速に進む円安、そして長引く物価高が今後どうなっていくのか。第一生命経済研究所の永濱 利廣さんに伺います。まずは、1ドル140円台という24年ぶりの水準となりましたけれども、永濱さんこの円安は今後どうのようになると見ていますか?
永濱氏)
『今年の冬以降には落ち着くかも』という見立てです。
高島)
冬以降に落ち着くという見立ては、なぜでしょうか?
永濱氏)
実は今回140円台というのは円安というよりドル高なんですね。このきっかけは、アメリカのFRBのパウエル議長が、これまで利上げしてきたんだけども、そこまで景気も物価も下がっていないというとこで、景気を犠牲にしてでも当初の想定の利上げペースを速めるという発言をして、(円安が)進みましたましたから、そうなると今後多分相当利上げペースが当初の想定よりも上がると思います。そうなるとやはり今後アメリカの経済は、かなり減速すると思いますから、それを受けてもうすでに原油価格も下がっていますので、そうなると年末ぐらいに少し円安は落ちつてくるかなというのが、市場の見通しかなと思います。
高島)
年末ぐらいに円安はどまで進むんでしょうか?
永濱氏)
ただすぐに円安が落ち着くという感じではなく、実は今月の下旬にアメリカの金融政策の会合を控えていて恐らくそこまでは、例えば当初の想定よりもっと高いの物価のデータが出たりすると、まだ円安が進む可能性があるので、個人的には140円台半ばぐらいまでは警戒しておく必要があるかなと思います。
高島)
150円まではいかないというような感じだと思いますが、そこまで円安が進みますとやはり日本経済に大きな影響出てきそうですよね。
永濱氏)
そうですね。特に今後影響が出てくると懸念されるのが、これまでは色々なエネルギーや食料品の値上がりだったと思うんですけど、少しタイムラグを伴ってきいてくるような、例えば外食の値上げや家電製品の値上げにまず影響が大きくなってくるかなというのが心配ですね。
高島)
家でお米を食べるしかないのかなっていう感じもしてきますが、こうなってくると、買い控えなどがあって悪循環なのかなというのを感じますかその辺どうですか?
永濱氏)
そうですね。ただ一方で円安というのは輸出関連の大企業はプラスの面もあるんですけれども、やはり輸入依存度の高いような中小企業に負担が高まりますので、そうなると、もう既に今年度以降、倒産が若干増え始めてきてるんですけども、そういった円安の影響受けやすい中小企業で働いてる人のお給料が減ったり倒産がもう一段増えたり、そういったことに注意が必要かなと思います。
高島)
物価高が長期化しそうだということですけれども、中でも冬に向けて心配なのが電気料金です。
八木アナウンサー)
こちらは東京電力管内の平均的な家庭の電気料金の推移です。右肩上がりとなっているんですが、今月は月に9126円。同じだけ使っても去年の9月には7098円だったので、この1年で2028円、2000円以上の値上がりとなっているんです。
高島)
永濱さんは(節電対策など)どうですか?
永濱氏)
私も個人的にやっているのは、電気とかガスの契約を見直すと節約ができる可能性があって、場合によっては例えば年間1万円以上負担が軽減するなんていうケースもありますので、そこは積極的に見直しをやるというころは1つ重要かなと思います。
高島)
積極的にやるというのが大事ですよね。高いな困ったなって言うてるだけじゃなくて、まず調べてみる、やってみると。
永濱氏)
毎年変えるぐらいの、イメージでやった方がいいですね。
高島)
日本の電気代というのはここからどうでしょうか、上がり続けるんでしょうか?
永濱氏)
まだしばらく厳しいと思うんですけども、場合によっては『来年にかけて下がる』という可能性も全くないわけじゃないと思います。理由は、日本の電気料金は燃料費調整制度といって、化石燃料の輸入の値段で変動します。これ考えると、実は足もとですでに原油価格が下がり始めているんですけども、アメリカが利上げを進めることで、世界経済が来年悪くなれば、そうなると石炭とか天然ガスも下がると。こうなってくればもしかしたら来年、落ち着き始める期待もあるかなと思います。
高島)
家計への影響というところで見るとどうでしょうか。
永濱氏)
結論から言うと今年度は昨年度と同じ買い物すると仮定すれば3人家族で大体7万5000円ぐらいの負担になるかなと思います。
高島)
この辺も何か収入を増やすような対策を個人でやっていくと。
永濱氏)
そうですね。最近は副業もやりやすくなってますから、そういったこともできると思いますし、私個人ではフリマアプリなどを有効に使うことで物も安く買えるし、一方で使わなくなったものを売って収入になりますから。そういう取り組みも効果的かなと思います。
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