不動産の不況が続く中国。この状況が地方政府の財政にも深刻な影響を及ぼし、ついには財政破綻するところも出始めました。何が起きているのでしょうか?
山東省青島市。この街の一角に。
記者
「マンションの建設が止まった現場です。完成予想図も色あせてしまっています」
青島市民
「(建設が止まって)半年くらいかな」
こうした人気のない建物は「鬼城」と呼ばれています。鬼城が生まれる背景の1つが不動産不況です。
マンション購入者
「8か月以上も我慢したのに、なぜ何もしなかった?ここへ来た理由が分かるか?」
地元政府の担当者に抗議するのはマンションを買った人たち。
中国では建物が完成する前にマンションを購入し、ローンを払い始めるケースがほとんどです。ローンを支払っているのにいつまでもマンションが引き渡されない。抗議の声は全国に広がっています。
政府の規制強化によって、不動産開発企業向けの融資を絞り、資金を調達しづらくした影響で、不動産開発に投資する金額は減り続けています。今年1月から7月までの投資額は、新型コロナの感染拡大の影響があった2020年3月以来の落ち込み幅となりました。
不動産不況は地方政府の財政にも影響しています。その理由は。
中国の土地は国有制のため、地方政府がその土地の使用権を不動産開発企業に販売します。地方政府には使用権の販売収入が入る仕組みです。
丸紅中国 鈴木貴元経済調査チーム長
「地方政府にとっては土地(使用権)を売却して、不動産開発するのは街の開発につながる。不動産売却収入は金銭面でとても重要」
地方にとって重要な財源ですが、今年1月から7月までの収入は前の年の同じ時期に比べ、3割以上も減少しています。中にはすでに影響が出ている地方政府も。
東北部・黒竜江省、コウノトリの生息地としても知られる鶴崗市。市政府は去年12月、こんな告知を出しました。
鶴崗市政府の告知
「市政府職員公募計画の取り消しについて」
財政難で職員の採用を見送るというのです。鶴崗市は事実上、財政破綻した初めての都市とみられます。
鶴崗市はかつて炭鉱で栄えましたが、10年で人口がおよそ16%減少。不動産も「白菜のように安い」とやゆされるほど。過疎と不動産事業の衰退が破綻へとつながったのです。
専門家は負のスパイラルに陥ることも考えられるといいます。
丸紅中国 鈴木貴元経済調査チーム長
「新規事業を止めると、地方政府がやる入札に参加しない。そうすると、地方政府は土地(使用権)の売却収入を得られなくなるということはある」
今後、東北などの過疎地を中心に「最大で3割」の地方政府が財政破綻する可能性があるという予測もあり、中国経済を揺るがす事態ともなりかねない状況です。
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