大学生のための就職情報サイトが、“底辺の仕事”と題して12の職業を紹介し、波紋が広がっている。
大学生向けの就職情報サイト「就活の教科書」が公開していた記事。
その名も「底辺の仕事ランキング」一覧。
これに、SNSで批判が相次ぐ事態となっている。
2021年5月から掲載された記事では、「世間一般での底辺職業」として、12の職業を紹介。
それぞれの職業が“底辺”とされる理由などを紹介していた。
取材班は、底辺として名前が挙げられた数々の職業を取材した。
集荷待ちをしていたのはトラック運転手の男性。
トラック運転手「底辺というか、会社を辞めてから免許さえあれば入れるというのがあった」
転職で気楽に始めたというトラック運転手。
しかし、続けるうちに社会になくてはならない職業だと感じたという。
トラック運転手「流通というか、毎日荷物積んで毎日回ってますからね。そういう面では必ず必要(な職業)というか」
ごみ収集スタッフも名前が挙げられた職業の1つ。
“ゴミ収集”を行う増渕商店・増渕千人代表取締役「底辺職業というのはすごく残念。人が生活するうえでゴミが出るのは当たり前のことなので、それを片付ける仕事がないと生活は成り立たない」
記事では、底辺とした職業は、社会を下から支えている仕事だとして必要性を説明している。
そのうえで、特徴について、肉体労働であることや、誰でもでき、同じことを繰り返す作業が多いなどと解説していた。
6日連続の猛暑日となった30日の東京都心。
ヘルメットとマスクをして、暑い中作業を続ける土木作業員も名前が挙げられた1つ。
土木作業員「誰にでもできる仕事っていうのは、ないんじゃないかな。わたしは父も同じ仕事をしていて、住んでいる人たちが過ごしやすい道路をつくっていけたら」
そして、介護施設で高齢者らの生活を支える介護士。
入居している高齢者「ここにいたら何もしなくても、みんな面倒見てくれるし、感謝の気持ち」
入居する高齢者から感謝の声が上がるこの介護士も、記事では底辺職として紹介された。
「戸山いつきの杜」・石塚真理子管理者「(介護士は)大変大変っていうところだけをクローズアップしないで、楽しいとか、やりがいがあるって感じでやっているので」
子育て世帯を支える保育士もその1つに。
しかし、子どもを預ける親からは、保育士は生活に不可欠な存在との声が。
保育園に子を預ける保護者「(保育士は)なくてはならない存在ですかね。いなかったら生活成り立たないです」
「輝きベビー保育園瑞江」・村山奈津子保育士「悲しいなっていうか悔しいなって。わたしたちも国家資格という資格を持ったうえで働いておりますので、理解度が上がるとうれしいなって感じています」
「『底辺の仕事ランキング』、生きていくのに必須な職業ばかり」、「これらの職業にお世話にならずに生きていける人がいない」など、SNSなどでの批判を受け、運営会社は28日までに記事を削除した。
では、記事にはどういった狙いがあったのか。
取材をすべく、就職情報サイトを運営する大阪市内の会社を訪ねたが、登録されていた住所はレンタルスペースになっていて、ノックをしても何も応答はなかった。
ウェブサイトに記された住所はレンタルスペースだった。
さらに、メールや電話で取材を依頼したが、現在までに回答はない。
FNNプライムオンライン
https://www.fnn.jp/