日米の外務・経済閣僚が協議する新たな枠組み・経済版「2プラス2」の初会合がアメリカで行われ、半導体の供給網の強化などに向け協力していくことで一致しました。
従来の外務・防衛の閣僚ではなく、経済閣僚が参加する枠組みが立ち上がったのは安全保障をめぐる状況の変化です。
萩生田経産大臣
「サプライチェーン上の優位性を自らの影響力行使のために利用するようなことは認められない」
米 ブリンケン国務長官
「中国の威圧的な経済慣行がどれほど開かれたルールに基づく国際経済秩序に反しているか話し合った」
念頭にあるのは、中国とロシアです。
世界的に半導体が不足する中、中国は世界の半導体の多くを製造する台湾に対し、軍事的な圧力を強めています。仮に中国が台湾に侵攻した場合、半導体の調達ができなくなるという事態に陥りかねません。
会合では台湾への依存度を減らすため日米が連携して半導体の供給網を強化することで合意。日本が新たな研究開発拠点を創設し両国で次世代半導体の開発を加速させることで一致しました。
また、ロシアのウクライナ侵攻を受けてエネルギーや食料を安定的に確保することも課題で、両国が協力して対応することを確認しました。
軍事力を土台にしたこれまでの安全保障だけでなく経済面の脅威にも備える経済安全保障への対応が迫られる中、日米の連携拡大をアピールした形ですが、今後は他の同盟国などに連携を広げられるかが課題です。
林芳正 外務大臣
「台湾に関する両国の基本的立場に変更ないことを確認した上で、国際社会の安全と繁栄に不可欠な要素の台湾海峡の平和と安定の重要性を改めて強調、両岸問題の平和的解決を促すことで一致」
経済版「2プラス2」の初会合のためにアメリカを訪問中の林外務大臣は、ブリンケン国務長官と会談しました。両氏は中国が軍事的圧力を強める台湾をめぐり、台湾海峡の平和と安定の重要性を確認したうえで両岸問題の平和的解決を促すことで一致しました。
また、会談では、▼アメリカの「拡大抑止」の信頼性を確保していくことや、▼ウクライナ情勢に伴う強力な対ロ制裁に引き続き取り組んでいくことなども確認したということです。
米 ペロシ下院議長
「(アジアの国々を)もし訪問するならば楽しみです。どの国かは行けばわかるでしょう」
一方、29日に日本などアジア歴訪に出発すると報じられているアメリカのペロシ下院議長は記者会見で、外国訪問について「安全上の理由で話せない」とし、焦点となっている台湾への訪問についても言及しませんでした。
中国はペロシ議長が台湾を訪問した場合、「強力な措置をとる」と強くけん制しています。
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