新型コロナウイルスの第7波の感染拡大で、自宅療養者が全国で61万2000人以上となり、過去最多を更新しました。こうしたなかで、夫や子どもに感染させないようにと、車の中で4日間、隔離生活をした女性がいます。
■「家族にうつせない」4日間“車中泊”
コロナ感染による自宅療養者が過去最多を更新するなか、家族にうつさないように取った方法が「車中泊」です。
感染した40代女性:「以前から、そうなった(感染した)時は、誰か1人は車中泊しようと」
なぜ、この女性は家族との接触を一切絶つ、車中泊という手段を選んだのでしょうか?
神奈川県在住で夫と息子の3人暮らしの40代女性。異変を感じたのは今月14日のことでした。
感染した40代女性:「急激に腰が痛くなって。夜になって尋常じゃない痛みになって。立ち上がることも横になることも痛いぐらいの激痛」
病院での検査の結果は、陽性でした。
感染した40代女性:「陽性と分かった後から徐々に熱が出始めて、症状は次から次へとオンパレードというか。頭痛はあるわ、下痢はあるわみたいな。つらかったですね。(コロナに)かかってしまった以上は、人にうつすことだけはするまいと思った」
夫は、コロナの重症患者などの治療に使用するECMO(人工心肺装置)を取り扱う医療従事者。他の感染者のためにも、夫にうつすことはできなかったのです。やむなく、車内での生活を始めた女性。食事や飲み物は…。
感染した40代女性:「家の中にいる人にLINE等で『これが飲みたい』とか『ヨーグルト食べたい』と連絡を入れると、食べ物を持ってきてもらうんですけど。家の前にある自転車のカゴに食べたいものを置いてもらって、(立ち去ってから)私が車から出てそこから取りに行くみたいな形で」
■“自宅療養”壮絶隔離…トイレはLINEで
どうしても家の中に入らなくてはならなかったのが「トイレ」。行きたくなったら…。
感染した40代女性:「『トイレに行っていいですか?』ってLINEを入れて。そうすると『はい、どうぞ』という連絡が来る」
トイレに向かう時には、まず車の中で消毒。ドアノブには手を触れず、ひじなどで開けます。すると玄関には、大量の消毒液や除菌シートが…。ここでも消毒をし、ウェットティッシュを2枚持って、直接触れずにドアを開け、電気をつけるという徹底ぶりです。
熱中症やエコノミー症候群などにならないよう、十分な注意を払いながらの車中泊は3泊4日に。その後、宿泊療養施設に入ることになりました。
感染した40代女性:「(施設では)ドアノブも自分の手で握っていいんだ。シャワーも浴びられる、布団で寝られるみたいな。笑っちゃうんですけど、そこでしたね。本当にありがたかったです」
現在は体調も回復し、25日に施設を退所することができました。
感染した40代女性:「『気合と根性で病気は治らない』って、よく主人に言われるんですけど。『気合と根性で感染させない』ことはできるかもしれない」
■自宅療養者「水も飲めない」過酷症状
自宅療養者への訪問診療を行う都内のクリニック。
医師:「今は症状としては、せきと咽頭(いんとう)痛と頭痛と微熱ですね?」
男性:「鼻水もありますけど、それくらいですね」
26日に訪れたのは、せきやのどの痛みを訴える50代男性の自宅です。
医師:「せきを結構されて」
男性:「そうですね」
この男性は25日、民間の検査で陽性に。保健所から「医療機関での最終的な診断を」と言われ、3つの病院へ連絡するも断られたといいます。
ひなた在宅クリニック山王・田代和馬院長:「最終的には保健所から当院を紹介頂いて。きょう(電話で)お聞きしたところ、すごくせきをされていて、肺炎を起こしているかもしれないという懸念のあるせきをしていたものですから、この方は早めに診察をしたいと」
医師:「検査をします。痛いですけれども、ごめんなさい」
検査の結果は…。
医師:「Tのところに出ているから陽性ですね」
男性:「確定しました」
田代院長:「陽性を確かめられたということもできましたし、大事に至らなくて良かったというふうに思っています」
一方、つらい症状を訴える自宅療養者も多くいます。
医師:「しんどかった?しんどそうだね、もう大丈夫だから」
この20代の女性は副反応への心配からワクチンを1回も打っていません。同居する男性も陽性ですが、3回接種していて、ほぼ症状はないといいます。
女性には、点滴で対応することにしましたが…。
医師:「点滴が終わった後、その針を抜くのをお願いしたい。僕が本当は抜きに来たいんだけど、次から次に行かなければいけなくて。ごめんね」
現在、依頼件数が多いため、優先順位を付けざるを得ない状態だといいます。
田代院長:「すべての検査の希望、往診の希望に全部答えることが残念ながらできないくらいの患者数になっていますので、必要な方にいち早く必要な医療を届けるトリアージしているのが現状です」
■“陽性率9割” 本来入院も…自宅療養に
発熱外来を行っている都内のクリニックでは、朝から診察の依頼が殺到。受診を断るケースが相次いでいます。
一日に診察できる人数を超えてしまい、40人から50人は断る状況です。
クリニックでは、駐車場内にテントを張り、発熱した人などに検査を行います。
この男性の結果は…。
医師:「黒い線が出ていまして、これで陽性という判断ができます。10日間、自宅待機です」
男性には同居人がいるため、ホテルでの療養を希望していますが。
男性:「できれば、ホテル療養ができるのであればしたいのですが」
医師:「それに関しては、保健所の方が判断して。実は、高齢の方でも医療施設には入れない状況があるので」
クリニックでは現在、30人検査をすると、27人は陽性と判定され。本来なら入院させたい患者も自宅療養を余儀なくされているといいます。
たけうち内科・竹内明彦院長:「基礎疾患を持っている方は、できるだけ自宅ではなく病院でと思うのですが、なかなか厳しい状態にあるようです」
■宅配スーパー 感染急拡大で“注文激増”
感染者の増加に伴い、宅配スーパーの現場は多忙を極めています。
注文が入り、スタッフが急いで商品を手に取ります。かごに入れているのは「ブロッコリー」や「ハクサイ」などです。
最近は特に、野菜や果物の注文が増えているといいます。
OniGO株式会社・川村遼太郎さん:「保育園がお休みになってしまったり、小中学校がお休みになってしまって、どうしても自宅で(子どもの)面倒を見なければいけないお客様は、非常に多くて。外出もしにくいというところで、非常にご注文を頂いている」「(Q.自宅療養の方からも多い?)数としては増えているかなと思っています」
「10分以内の配達」をウリにしているこのスーパー。立ちこぎで必死に走ります。ここ3週間で、再びニーズが高まっているものもあります。
スタッフ:「3週間前ですと、手渡しの配達も多かったんですけれど、今週・先週にかけては手渡しから非接触での配達を希望されるお客様が増えている」
■“注文激増”商品は「抗原検査キット」
商品を届け終わって店に戻ってきたスタッフ。休む間もなく、かばんから何かを出し始めます。
スタッフ:「他店舗から持ってきたって感じですね」「(Q.どんどん補充しないと減っちゃう?)そうですね、今は結構売れているので。120個くらいは」
別の店舗の在庫から持ってきたという“抗原検査キット”。
川村さん:「今、非常に注文頂いている“抗原検査キット”の10本セット。ここ最近の3週間で各週3倍ずつ(売り上げが)伸びている」
国が承認していない研究用のキットにもかかわらず、客からの注文が殺到。感染が急拡大したここ3週間は、注文のない日はないといいます。
スタッフ:「こちら10個ですね」「5本セットです」
夕食時になると、注文がピークに。一度に多くの注文が重なり、バタバタする店内。
スタッフ:「2件持ちいけるやつ行こうか、じゃあ」
配達スタッフの自転車も、ほとんど出払ってしまいました。
川村さん:「コロナウイルスの接触リスクを抑えられるのであれば、配達に頼って届けたほうがいいのではないかというニーズがあると認識しております。的確で適切なサービスを届けられるよう徹底して参りたい」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2022年7月27日放送分より)
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