長崎県佐世保市の動物園でシロテテナガザルが赤ちゃんを生みました。すくすく育つ赤ちゃん。一方、獣舎で単独で暮らしているはずの母親の「謎の出産」に動物園は頭を悩ませています。
元気に飛び回るシロテテナガザルの雌のモモ(10)。
おなかにいるのは先月10日に生んだ赤ちゃんです。
実は、飼育員はモモが身ごもっていたことに、この赤ちゃんが生まれるまで気付いていませんでした。
モモは獣舎の中に1頭で暮らしています。妊娠するはずがないのです。
九十九島動植物園「森きらら」・福田久美子次長:「飼育員が赤ちゃんを発見した時は驚く以外ないというか、戸惑いと驚きで。一時、放心状態になってしまったといっておりました。隣り合う獣舎の鉄柵の隙間で交尾した可能性が高いのではないか」
隙間で交尾するには3つの可能性が考えられます。
まずは、右側にはモモの父親と母親、そして妹が住んでいます。モモとの間には鉄の柵が置かれていますが、そこには小さな「隙間」があります。
そして、左側にはフクロテナガザルの両親と息子が2頭。間に木の板が置かれていますが、ここも「隙間」があります。
さらに、モモは午前と午後で外の獣舎と中の寝室をアジルテナガザルと交代で使っています。寝室と獣舎につながる部分は仕切られていますが、小さな「隙間」があります。
この3つの「隙間」のいずれかから交尾した可能性があるとみられます。
九十九島動植物園「森きらら」・福田久美子次長:「動物園としては、動物飼育管理上、本当にあってはならないことということで、命の誕生は本当に大事なことです、見守っていくべきと思っておりますが、『交雑種』『近親交配』の子どもが生まれてしまったということは反省しているところです」
モモにぴったりくっついたままの赤ちゃん。すくすくと成長しているようです。
約1年後、モモから離れ、1頭で過ごせるようになった時、DNA鑑定で父親を特定する予定です。
お伝えしたように妊娠したことには3つの可能性があって、相手がモモの父親だった場合、シロテテナガザル同士なのは良いのですが、近親交配になります。
そして、フクロテナガザル、もしくはアジルテナガザルが父親だった場合は別の種類のテナガザルとの交配となって、雑種の赤ちゃんが誕生したことになります。
この動物園によりますと、テナガザルの仲間は希少種のため、国内外で血統管理が徹底されています。役割として「種の保存」を担っている動物園は交雑種の誕生を避けなければなりません。
そうしたなかでの今回の出産を動物園はとても深刻に受け止めています。
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