沖縄県の尖閣諸島沖で、中国公船が領海侵入を繰り返していますが、その動きが一段と強硬になっている事が分かりました。日本の漁船に急接近し、威嚇してくる緊迫の現場をカメラが捉えました。中国側の対応がより強硬になった理由について、専門家に聞きました。
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尖閣諸島の日本の領海内で9日、艦首に赤いラインが入った中国海警局の船が撮影されました。
仲間市議
「きょうは威嚇してるな」
尖閣諸島では日本が国有化した2012年以降、中国海警局の船の領海侵入が常態化していますが、今回、入手した映像などから、中国側の対応がより強硬になっていることがわかりました。
撮影したのは、30年近くにわたり尖閣諸島の現状を発信してきた石垣市の仲間均市議です。自身が所有する船で漁を行うため、石垣島から尖閣諸島に向かうと、接続水域で中国海警局の船2隻が現れ、そこから追尾されたのです。
仲間市議
「(中国)海警がすぐ近くに来ています。この間とは違うなぁ」
幅寄せするように接近する中国海警局の船。艦首に青のラインが入った日本の海上保安庁の巡視船が間に入り、無線や電光表示で退去するよう繰り返し警告しますが、進路を変えることなく、そのまま日本の領海に侵入しました。
逆に、電光表示で「中国の領海から退去せよ」と警告してきました。さらに、甲板上には人の姿がありました。
仲間市議
「カメラでこっちを映している」
こうした動きは、最近では異例の事です。
去年7月、同じ場所で漁をした時には――
仲間市議
「ここにも中国の公船。しかし、近寄ってきません」
仲間市議によると、去年5月以降、カメラで捉えるのが難しいほど距離をとるようになり、今年1月に石垣市が調査した際も、ほとんど近づいてこなかったといいます。
しかし、今回は漁を行う際も、監視するかのように接近しました。
仲間市議
「きょうは一変して威嚇だ。中国の海警は」
「カメラで映している。(漁を)やっていいよ。やっていい。見せつけた方がいい」
漁船を守る巡視船も集結し、漁場は船だらけになりました。
仲間市議
「釣りの邪魔をしています、中国公船。あ~きょう魚釣れないよ」
漁船が石垣島に戻る際には、中国海警局の船は、接続水域の外の公海上まで追尾を続けました。漁船が追尾を受けた時間は、実に36時間にも及びました。
対応がより強硬になった理由について、中国の軍事に詳しい専門家は次のように指摘しました。
笹川平和財団 小原凡司上席研究員
「ウクライナ戦争が長期化して、共産党指導部内でロシアと距離をとるべきだという意見が出てきていて、議論が非常に激しくなっているといわれてますので、習近平国家主席が自らの正当性・権威を保つためにも、領土の保全を全面的に打ち出さなければならない状態になっているのではないか」
中国船の領海侵入が常態化したこともあり、尖閣諸島で漁を行う日本の漁船は減りつつあります。沖縄の漁師からは――
漁師
「おれも尖閣に行って、中国公船に追いかけまわされたけど、おかしくないか?(日本は)恥ずかしいよ」
仲間市議は、「もう漁ができないっていうのが、やっかいだよね。漁民の安心安全を守るためにどうしたらいいか、国はしっかりと考えなければいけない」と述べました。
(2022年5月11日放送「news every.」より)
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